駅から 480 メートル の ところ なんですよ。でもって 一軒家 。
( ひろ子 )駅から すぐの 一等地 ですね 。東京 だったら たいへんな
お金が かかりますね !
( いずみ )でも、安中榛名 って 新幹線の 駅 なんですよ 。
だから 電車で 通院して来る 人は まったく いない 。
お客さんは みんな 車で 来るんですよ 。
( ひろ子 )そうですよねぇ 。地方って 一人に 一台の 車社会ですよねぇ 。
( いずみ )そうそう。 ナベが 開業の 準備をしていて
もうすこしで 開業に こぎつけるぞ っていう時期 にね 。
さすがに、 疲れが 溜まっていた んですねぇ 。
師匠 、腰 やってください って 東京に ひさしぶりに 出てきたんですよ 。
ロングバージョン で 90分 やりましてね 。
そうしたら 終了 直前に 落語家の 、当時 まだ 二ツ目 の
立川 談奈 ( だんな )さん が 来たんですよ 。
今度 、高座に かける はじめて 演 ( や )る 噺 の 稽古 をしているんだけれど、
疲れが溜まって いて ちっとも おぼえられない。
もう クタクタです 。助けてください って 来たんですよ 。
そのとき 稽古していたのが なんの 噺 か 憶えていますよ 。
( ひろ子 ) すごい 記憶力ですねぇ ! なんていう 噺 ですか ?
( いずみ ) 「 井戸の 茶碗 」ですよ 。
談奈 さん は 今では 真打ち ですからねぇ 。
今は 初代 立川左平次 ですよ 。
( ひろ子 )すごーい ! いずみ先生 真打ちの 落語家さんの
知り合いがいるんですねぇ 。
( いずみ )それでね。部屋の中に ナベが いたもんだから
談奈さんが 部屋に 入るのを 遠慮してるんですよ 。
だから 言ってやったんですよ 。
「 ああ。 この 人 ( しと )ぁ 身内 みてぇな もんだから 気にする
こたぁねえよ 。 ま ! いいから 入 ( へぇ )んな 、入 ( へぇ )んな 。 」
( ひろ子 )あははは。 いずみ先生の方が 落語家さん みたい ですね 。